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January 22, 2007
金子建志/京都フィロムジカ 巨人ハンブルク稿&伊福部
2007年1月21日(日) 13:00 京都コンサートホール
京都フィロムジカ管弦楽団 第20回定期演奏会
伊福部昭:交響譚詩
マーラー:「巨人」(2部からなる交響曲様式による音詩:ハンブルク稿)
金子建志指揮 京都フィロムジカ管弦楽団
ハンブルク稿に伊福部? しかもネコケン指揮? ということで京都まで出かけてきました。実は昨日も京都へいってちょっと疲れてたので正直今日はやめようかと思ってたんですが、行ってよかったです。
◆伊福部昭:交響譚詩
私は伊福部さんの曲のすごく熱心なファンというわけではないんですが、例えばコンサートを聞きに行って、1曲目が伊福部さんだと、正直言ってありきたりな泰西名曲よりはずっとうれしいですし、「おっ、やるな」と思います。やっぱりあの音楽は個性的だし、例のズンズンズンというダサ力強いリズムは確かに聞いて気持ちいいですしね。まあ詳しいことは書けないんですが、すっきり盛り上がってスカッとする演奏でした。
◆マーラー:「巨人」(2部からなる交響曲様式による音詩:ハンブルク稿)
パンフレットに金子さんの解説があって、それに協会版と違うところなどが詳しく書かれてて、大変面白かった(だけでなく、これから聴く演奏の格好のガイドにもなった)です。CDも4つだか5つだかあるんで(モリス、若杉、ハマル…あと誰だっけ)、まったく未知というわけではないんですが、やはり生は生、マーラーの1番をそれなりに聞き込んでる人なら、かなりエキサイティングな体験だったんじゃないでしょうか。
第1楽章ですが、最初がフラジオレットじゃなかったり、トランペットの起床ラッパが舞台裏じゃなくて舞台上で吹かれるということで、決定稿よりも多少こじんまりした感じがしました。その「こじんまり感」は生の方がずっと実感できました。あとは、これはCDでもわかってたことの再確認なんですが、ハンブルク稿って、大事な旋律が鳴ってるのを持続音とか伴奏音型が覆っちゃう部分がすごく多いんですよね。ある意味シューマンのオーケストレーションの下手さとして指摘される部分と共通しているかもしれません。そのおかげで、楽想の変化が小さく感じられてしまいます。これも「こじんまり感」の大きな要因ですね。決定稿だとそのへんがかなり整理されて、起伏が大きくなっています。
演奏は熱く盛り上がって良かったです。最後のところ、ティンパニと他の楽器がズレているように聞こえる、というようにマーラーは書いたと思うんですが、最後の最後で本当にばらばらっとなってしまったのはわざと? でもこれはこれで面白いハプニングでした。
第2楽章はスケルツォじゃなくて「花の章」です。冒頭のトランペット、録音では柔らかく歌うようなのが多いんですが、今回の演奏では結構朗々と吹いてました。金子さんの指揮は比較的速めのテンポのように感じたので、あまり感傷的にならないようにという趣旨かな? 聴いてて思ったんですが(単なる思い付きですが)、この楽章って、シューベルトの「未完成」の第2楽章がモデルの一つじゃないでしょうかね。
第3楽章がスケルツォです。この楽章も版によって違いがいろいろあるんですが、今回新鮮だったのが、トリオに入る直前とか楽章全体の終わりのところ、決定稿ではどんどんテンポを上げて終わるんですが、ハンブルク稿はインテンポなんですね。すると、金子先生が解説に書いてる通り「『半音下降+ヘミオラ・リズム』による前衛性と破壊的な効果」はかえってよくわかるようになります。テンポが一定なだけにリズムの変化がはっきりするわけです。
第4楽章は葬送行進曲。冒頭は決定稿のコントラバス・ソロじゃなくて、チェロとコントラバスのソロです。この箇所は、金子解説にハンブルク稿自筆譜のコピーが載ってたんですが、チェロのところにもコントラバスのところにもちゃんとSoloと書いてあるんですね。…あれっ、フュッスル校訂の新協会版って、コントラバスのSoloは一人で弾くという意味じゃなくてパート・ソロという意味だと解釈してユニゾンに変更したんじゃなかったでしたっけ。チェロとコントラバス両方じゃその意味には解釈できないですよねえ。
まあこの点に関しては、フュッスルのパート・ソロ説っていうのはちょっと眉唾のような気がします。そもそも初演を聴いたワルターがどの録音を聴いても一人で弾かせてるんですし。ところで、同じ金子解説に、この楽章125小節のフルートのことも言及されてます。フュッスル版ではここはEフラットで、数少ない旧協会版との違いなんですが、ここはハンブルク稿も旧協会版もCフラットなんですよね。どうもこの新協会版、信用できるんかいなという気がします。
第5楽章も結構違います。いろいろあるようですが、一番驚くべきは、第1楽章冒頭のホルンのファンファーレが再現されるところの後、フルートの鳥の声(438小節~)が、短調じゃなくて長調になっている(ミミラッミッドッミーというところで、ミとラにフラットがついてない)ということです。これも金子解説にちゃんと書かれていたので聞き逃しませんでした。若杉盤やモリス盤では短調に直されている(確か)とのことです。
あとは楽章の一番最後のジャン(どろどろどろどろどろどろどろどろどろ)ジャン(どろどろどろどろどろどろどろどろどろ)デデッ!という終わり方ですね。これもCD(と昔の金子先生のNHK-FMでの聴き比べ)で知ってましたが、やっぱり違和感が面白いです。
実に内容の濃いコンサートでありました。次回はなんとベルワルトの1番をやるそうです。他にも2月18日には八尾でオーケストラ・アンサンブル・フォルツァという団体がショスタコーヴィチの12番とシューマンの4番初稿をやるそうです。やっぱり「珍しい曲好きはアマオケへ」の時代ですね。
例によって関連のアマゾンアソシエイト張っておきます。『マーラーの交響曲1』は品切れなのかあ。
「巨人」はHMVの方がずっと安いですね。しっかりせえアマゾン。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/404215
http://www.hmv.co.jp/product/detail/1086893