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August 29, 2006

サヴァリッシュの隠退生活

 The Philadelphia Inquirer紙が指揮活動を引退したサヴァリッシュにインタビューした記事がありましたので紹介します。先年サヴァリッシュは、予定されていたフィラデルフィア管、聖チェチリア管などの演奏会をキャンセルしたので、マエストロの健康状態を心配している方もおられるのではないかと思いますが、バイエルン・アルプスのグラッサウというところで,一応元気に暮らしていらっしゃるようです。ただ,血圧が変動するため旅行はできず,ミュンヘンやザルツブルクにコンサートを聴きに行くことさえできないと残念がっているそうです。
 指揮活動はやめたものの,自宅でピアノを弾いたり,来客を迎えたりしてはいるとのこと。NHKもインタビューに来たと書いてありますので,そのうち放映されるんじゃないでしょうか。サヴァリッシュの家は大変広く,2階建ての音楽室は「スタインウェイのグランド・ピアノ2台とベーゼンドルファー1台がおもちゃのように見える」っていうんですからすごいですねえ。たいへん美しい自然に囲まれたところで(大きな窓から見えるそうです),EMIとドイツ・グラモフォンから,ここで歌曲の録音をしたいというオファーがあったものの,鳥の声が多すぎてだめだったとも。
 記事の最後にはサヴァリッシュのこんな言葉が。「かつてはここでの春や秋がどんなものなのか知りませんでした。いつもグラッサウにはいなかったので。今、私はここで一人の普通の人間として暮らしてるんですよ。」

元ネタ
La Scena Musicale経由Playartsbill News経由The Philadelphia Inquierer

投稿者 Hayes : 02:13 AM | コメント (0) | トラックバック

レオポルド・シモノー死去

 カナダのテノール歌手で、優れたモーツァルト歌いとして知られたレオポルド・シモノーが、24日夜、カナダ・ヴィクトリア州の自宅で亡くなりました。90歳でした。シモノーはこの家で80年代から夫人(ソプラノのピエレット・アラリー)とともに暮らしていたそうです。ウェストミンスターにもいろいろ録音がありましたね。R.I.P.

La Scena Musicale経由のLA Times

投稿者 Hayes : 02:02 AM | コメント (0) | トラックバック

August 16, 2006

最近出たショスタコーヴィチの本

アニヴァーサリー・イヤーということで,ショスタコーヴィチ関係の本がいろいろ出ていますので,簡単に紹介します。

梅津 紀雄著『ショスタコーヴィチ―揺れる作曲家像と作品解釈』
東洋書店 ユーラシア・ブックレットNo.91

630円で64ページの小冊子なんですが,さすがに記述は最新の研究を踏まえていますし、ショスタコーヴィチの生涯を簡潔にまとめていて,いい本だと思います。ショスタコーヴィチについてよく知らないからまず一冊という人には,千葉潤氏の伝記とともに強力にお薦めですね。ただ,梅津氏にはそろそろもっと本格的な研究書を出版してほしい感はあります。学術雑誌とかだと一般の目に触れることが少ないので。

日本語の本では秋に工藤さんの本が出るのと,これはいつかわかりませんが,クシシュトフ・メイエルによる伝記の翻訳が平凡社から出る予定になっていますね。工藤さんについては説明不要でしょうが,メイエルの本もかなり詳しい伝記で,フェイとはまた違う価値があると思います。原書には,例のショスタコーヴィチ&ハチャトゥリヤン共作の国家応募作の楽譜も載っていたりします。

John Riley: Dmitri Shostakovich: A Life in Film: The Filmmaker's Companion 3 (The KINOfiles Filmmaker's Companions) , 2005 I.B.Tauris

これは去年の本ですが,ショスタコーヴィチが音楽を担当した映画について書いた珍しい本です。Riley は個人でほぼすべてのショスタコーヴィチ映画の映像を持ってるというすごい人なんですが,この本では,ショスタコーヴィチの関わったすべての映画について,ストーリーや音楽の使い方など詳しく書かれています。150ページの本ですが内容濃いですよ。この本抜きでショスタコーヴィチの映画は語れないと思います。

David Hurwitz: Shostakovich Symphonies and Concertos: An Owner's Manual (Unlocking the Masters Series),2006,Hal Leonard

ハーウィッツは Classictoday.com の主催者で,まあ毀誉褒貶ある人です。この本はショスタコーヴィチの交響曲と協奏曲に絞って,わりと詳しめの解説をしている本です。ちょっと字が大きいとはいえ、1曲にかなりページ数が割かれている(例えば交響曲第7番で12ページ)のが特徴でしょうか。内容は引用とか伝記的な話ではなく,形式の分析が主です。ただ,残念ながら譜例が全く載っていません。楽譜の読めない人への配慮だとは思いますが,ちょっと隔靴掻痒感があります。第5番のCD(アーロノヴィッチ指揮ストックホルムpo.によるBIS盤)が付録としてついていまして,この曲のみはCDのタイミング表示が本文中に記されています。

Dmitri Shostakovich: Unfinished Quartet, 2006, DSCH

これは今年の目玉じゃないでしょうか。以前書いた,未完成の弦楽四重奏曲の楽譜です。交響曲第12番の後に「弦楽四重奏曲第9番Op.113」(作品番号に注意)として着手された曲で,ショスタコーヴィチが書いたのは第1楽章の途中までですが,出版譜は Roman Ledenyov が補筆完成,アレグレット 変ホ長調 4分の4拍子で317小節あります。曲の雰囲気は,ちょっと人を食ったようなユーモラスな旋律の感じが,二代目(?)の第9番と似ているように思います。早く録音が聴きたいですね。


投稿者 Hayes : 12:08 PM | コメント (0) | トラックバック

August 09, 2006

日本語版の《魔王》

ドラマ『結婚できない男』(KTV・フジ系)が話題になってますね。伊達さんのブログからたどっていろんな人の感想を見ると、一般的には「あんな男とは絶対付き合えない!」、クラヲタには「これって、あるあるネタだよね?」という感想が多いような。

私も前々回と今回と、あわせて一回半ぐらい見ただけなんですが、まあなんといっても印象的だったのが、前々回出てきた日本語版の《魔王》でしょう(それかよ)。CLASSICAのiioさんは「ありえねー。日本語はないっすよ。」とおっしゃってますが、いやいやどうして、これはなかなか深い選曲のような気がします。

最近はどうなってるのか知りませんが、小中学校の音楽の時間に聴かされた曲というのは、今考えるとかなりユニークな選曲だったように思います。通俗音楽(この言い方も今ないですね)の代表のように言われていたアイレンベルクの《森の水車》だって、まあ学校以外で聴く機会はほとんどなくなってしまったし、だいたい私が小学校に入って最初に聴かされた曲、今でも覚えてますが、ピエルネの《小牧神の入場》ですからね。いきなりピエルネって。

で、それらの曲の中で抜群に強烈なインパクトを与えている(らしい)のが、シューベルトの《魔王》なんですね。クラシックにはほとんど興味を示さないうちの奥さんも、私の持って帰った歌劇《魔笛》というチラシを見て「あ、これ知ってる。おとうーさーんおとうさん!っていうのでしょ。」と言ったぐらいで。

そう、小学校だか中学校だかの音楽の授業で《魔王》を聴いて「なんかインパクトある曲だなー」と思った子供にとっての《魔王》というのは、フィースカウ君とかじゃなくて、日本語訳詞の「おとーうさーんおとうさん」なんですよ。ところがこれがなかなか売ってない。「18人の名歌手によるシューベルト:魔王」という《魔王》ばっかり集めたCDがあるんですが、ここには中山梯一による日本語版が入ってます。しかしこれは訳詞が違うので「お父さん」じゃないんですね(何と歌ってたか忘れた)。柳兼子によるのは女声だし、最近の福井敬の《水車小屋》のフィルアップで入ってるのは、松本隆訳だから音楽の時間に聴いたのとは違うでしょう(正直言うとこの二つは持ってないから詳細はわからないんですが…)。

ということはですよ、昔音楽の時間に聞いた《魔王》を入手しようと思ったら、教育用のCDを買わなきゃいけないわけです(たぶん)。クラヲタの皆さんでも、こういうものまで持ってる物好きな(?)人はあんまりいないんじゃないでしょうか。そう考えると阿部寛扮する桑野建築士の趣味、1周半ぐらい回って相当マニアックなような気もします。




投稿者 Hayes : 06:56 AM | コメント (12) | トラックバック