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August 21, 2005
ショスタコーヴィチのインチキ&エラーCD
1980年録音のコンスタンチン・イヴァノフ指揮モスクワ・フィルとシャフラン(vc)による,ショスタコーヴィチの交響曲第15番とチェロ協奏曲第1番というCDがありました(Regis RRC1181) が,これがなんと真っ赤な偽物で,実はポリャンスキーとヘルメルソンのCHANDOS盤と全く同じもの(というか,コピーですね)だったそうです。DSCH Journal No.23, p.95に,Regis社のロビン・ヴォーン氏のコメントが載っているのですが,Regis社も騙された側のようです。なんでも,送られてきたテープにコンドラシン指揮と書いてあったので,Regisがモスクワ・フィル側に問い合わせると(1980年録音ですしね),モスクワ・フィル側は「あれは間違いで,実はイヴァノフ指揮だった」と言って来たそうです。まあこの時点でなんとなくあやしいのですが,ともあれRegis社がそれを信じてリリースしたところ,シャフランの崇拝者であるチェリストのスティーヴン・イッサーリスが電話で「あれはシャフランの演奏ではないのではないか」と指摘しました。そしてイッサーリスはシャフランの未亡人にも電話したところ,彼女はシャフランが第1番を録音した可能性はないということを断言,調査してみたところ,ヘルメルソンの録音であることがわかったわけです。モスクワ・フィル側は当初否定していましたが,「エンジニアがテープのラベルを間違えたようだ。」と言ってきました。しかしまあ最初から存在しないテープとラベルを間違えるというのも変な話です。Regis社はこのCDを回収し,すでに購入した人には返金すると言っています。
ところが話はこれで終わりませんで,Clarton(Pearls of Classic) というレーベルから出ている,セルゲイ・スクリプカ指揮モスクワ交響楽団,チェロがメデア・メイザニヤンという組み合わせによる同じ曲目のCD(KZZ CLARTON CQ 0069) も,どうもこのシャンドス盤のコピーのようなのです。ちなみに Regis盤もこちらも同じ Aquarius Music という会社のマスターです。同じ元ネタで2度も騙そうとはあつかましいというかタコヲタをなめてるというかヲタの習性をよく知っているというか…。でもまあ、こっちのCDは雑誌に書いてあったのでなく私が気づいたのですが,聞いたらすぐ「これは変だな」と思いました。だって,モスクワ響がショスタコーヴィチの15番をこんなに上手に演奏できるはずありませんから^^;。
昔からショスタコーヴィチ指揮の10番のLPだとか,PRAGAの偽ライヴ(この会社のは本物もあるのでややこしい)だとかインチキ録音はありますが,こういうのはやめてほしいですね。
もう一つ,こっちは悪意のない間違いのCDですが、Revelation からロストロポーヴィチの独奏によるショスタコーヴィチのチェロ協奏曲第1番,第2番というCDが出ていました(RV10087)。ところが,このCD,ショスタコーヴィチの第2番が入っているべきところに、全然違う別の曲が入っているのです。いったい誰の曲だろうと以前から知りたく思っていたのですが,20世紀ポルトガルの作曲家ロペス=グラーサ(Fernando Lopes-Graca 1906-1994)の『コンチェルト・ダ・カメラ』という曲だったということを最近知りました。なお,このCDはイェダンから再発売されましたが,こちらはちゃんとショスタコーヴィチの2番が入っています。Revelation盤でも初期に出たCD以外だと2番が入っているのもあるかもしれません。ちなみに,ロペス=グラーサの協奏曲もロストロポーヴィチが初演した曲で,EMIのライヴ録音ボックスセットにも入っています。この件のソースは DSCH-ML です。
投稿者 Hayes : August 21, 2005 05:14 PM
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こんなタイトルだからって、別にディスコグラフィを仕立てようとの魂胆はありません。 念の為…。 今年の [続きを読む]
トラックバック時刻: September 17, 2005 12:10 AM
コメント
Hayesさま
はじめまして、Tandoと申します。
お陰様で詳細にわたる真相を知ることが叶いました。
ありがとうございます。
それにしても、ひどい話ですね。
決して誇張ではなく、寝込みそうなくらいショックでした(^^;
更には、スクリプカ指揮の焼き直し偽物盤にも、危うく手を出しかけまして…すんでの所で回避しましたが、もしこちらでも騙されていたら、当面は立ち直れなったかも知れません。
こうして冷静になってみると、手元にはまだ幾つか怪しげな音源が幾つか思い当たります。今後は多少懐疑的になることもやむを得ないかと思いますが、それも必要なことなのでしょうね。
投稿者 Tando : September 17, 2005 12:37 AM
Tandoさん,はじめまして。コメントに気づくのが遅れまして,掲載とお返事が遅れてしまいました。申し訳ありませんm(_ _)m
いやーほんとにこういうのはやめてほしいですよね。基本的に書いてあることは疑わないですから,イワノフの録音だと言われればそう信じてしまいますよね。Tandoさんが書いておられたフルトヴェングラー指揮の新世界やシベリウス自作自演のアンダンテ・フェスティヴォは,たぶん悪意のない誤認だと思うんですが,これは詐欺的悪意が感じられるだけにいやな気分になります。まあポジティブに考えて,今までは,「珍しい曲を手堅い演奏でいっぱい録音してくれてありがたいけど正直どうもぱっとしない指揮者」と思っていたポリャンスキーを,ちょっと見直すきっかけになったというように思うことにします。
CLARTONのスクリプカですが,このレーベルは偽イワノフと同じ AQUARIUS 原盤ですし,どうも演奏者の名前も怪しい(架空というわけではないんですが)ので,要警戒だと思います。時間がなくてちゃんと聞き比べてないので一応未確認ですが,チェルカーソフ指揮の『レニングラード』というCDをパソコンに入れてみると,コンドラシン指揮と出てきました…。
ところで「銀璧亭」ですが,いつも楽しく読ませていただいています。私も旧ソ連の演奏家は好きな人が多いので,「20世紀ウラ・クラシック」と「銀壁亭」の大ファンです。今後ともよろしくお願いします。
投稿者 Hayes : September 19, 2005 04:34 PM
CLARTONのチェルカーソフ指揮/「レニングラード」、実は私も所有しております。
「おお、これはコンドラシンばりの名演じゃないか!」と感歎したものですが、よもやコンドラシンの演奏だったとは…(^^;
それにしても、CDDBの判定精度は大したものですね!
AQUARIUSやCLARTONの音源は手元に複数点ありますが、これ以上、無用の混乱を避けるためにも、blogでの言及は控えようと思います。
イワーノフ指揮の、バーバー「弦楽のためのアダージョ」などは、この期に及んでは限りなく紛い物臭く感じられます。
>いつも楽しく読ませて
既にご訪問を賜っていたとは思いも寄らぬことで、誠に恐縮の極みです。Hayesさまのサイトはそれこそ、私がblogを始めるよりも遙かに以前から拝見しておりました。
過分なお誉めに与り、感無量でございます。
私の方こそ、今後とも宜しくご厚誼、ご教示を賜りますようお願い申し上げます。
投稿者 Tando : September 19, 2005 10:11 PM
チェルカーソフの『レニングラード』ですが,AULOSのコンドラシン盤を出してきて,とりあえず第1楽章を聞き比べてみました。リマスターのせいで音質は多少違いますが,結論からいうとこれは同じ演奏ですね。一応マーカーとなる箇所を挙げておきます。
・10'40"あたりからの特徴的な弾き方による弦の音程のズレ
・13'30"あたり テープの傷らしきわずかなドロップアウト
・16'20"あたり トランペットが吹きそこない
あーあ(溜息)。もうこのレーベルは信用できません。
投稿者 Hayes : September 21, 2005 02:33 AM
はじめましてpiazzollaといいます。
貴重な情報ありがとうございました。私も被害者(?)の一人で、CLARTONの7番とRegisの15番を所有しています。CLARTONの15番も購入予定だったのですが、偶然書店で雑誌を眺めていた折、イミテーションであることを発見!キャンセルしました。もしも購入していたら、同じ音源の偽物を2種類も所有したことになりますよね(笑)。
ところでHMVのサイトの最近の新譜として下記がありました。CLARTONと同じ音源ですかね?この手の音源は当分信用できないなぁ。
Sym.7: K.ivanov / Moscow Po
発売日: 2005年10月31日
カタログNo: LK0091
レーベル: LEVNE KNIHY
http://www.hmv.co.jp/product/detail.asp?sku=1444020
投稿者 piazzolla : October 11, 2005 10:17 PM
piazzollaさんはじめまして。コメントありがとうございます。
Levne Knihy は私も他のページで見たんですが,どうも怪しいですよねー。ゴロヴァーノフの運命は偽物と早くもバレちゃってるようですし,チェコのレーベルでこういうものを出すと言えばCLARTONと関係がある可能性は大ですし…。ただ,リヒテル&ムラヴィンスキーのチャイコフスキーのように,本物と思われる音源も混ぜてるのでひょっとしてという可能性もなくはないのですが。
HMVに入るのなら,現物を見て,演奏時間をコンドラシン盤と比較してから買うかどうか決めようかと思います。誰か金があまりまくっている人が買って比べてくれたらそのほうが確実ですが(笑)。
http://www.webserve.ne.jp/cadenza/label/levne.html
投稿者 Hayes : October 12, 2005 01:04 AM
コンスタンチン・イヴァノフ指揮の7番ですが、DSCH Journal No.27 p.99 によると、やはりコンドラシン盤と同一演奏だそうです。
なおこのエントリーはコメントスパムがすごいので、コメントはクローズにしてあります。何かありましたらBBSの方にお願いします。
投稿者 Hayes : August 25, 2007 11:19 AM